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先週に観たので印象が薄れる前に書いておきます。 ていうか今でも場面がフラッシュバックしてくるほど衝撃の強い映画でした。 アメリカ国立アーリントン墓地は国のために命を落とした兵士を慰霊する場所ですが、そこには「硫黄島に星条旗を立てる兵士たち」の像がシンボルとして建てられています。 これは有名な写真がモチーフになっているのですが、映画はその写真で旗を立てていた兵士がたどった悲劇を克明に丁寧に描いています。 硫黄島は第二次大戦屈指の激戦地。 日本陸海軍が徹底抗戦をはかり、文字どおり全滅するまで戦った悲劇の島です。 両軍あわせて5万人以上が死傷する惨事となりました。万の単位ですよ! ひとつひとつの塹壕や陣地をめぐる凄惨な戦いを経て、ついに米軍は狭い島内を一望できる「擂鉢山」を占領しました。 いまだに銃弾の飛び交う山頂に立てられた小さな星条旗は、島内で苦戦する米兵を鼓舞し、沖を埋めつくす艦船の汽笛が一斉に鳴らされます(このシーンは圧巻)。 皮肉なことに武勲の旗は記念品として外されることとなり、たまたま手が空いていた主人公たちは予備の新しい旗に交換する作業を行います。 その旗が立った瞬間を撮影した写真が思わぬ印象深いものにになったため、米国に配信されたときに大きな反響をもたらしました。 そして莫大な戦費によって国庫が底をついていた折も折、財務省は彼らに目をつけ、戦時国債購入キャンペーンに利用することを計画します。 最前線から呼び戻された主人公たちは「銃弾をものともせず国旗を立てた勇敢な愛国者」に祭り上げられてしまいました。旗を立てたうち3名はその後の戦闘で(味方からの誤射も含む)亡くなっていましたが… 主人公たちは華やかな国内と過酷な戦場の落差に大きなショックを受けます。 また、事実に反して英雄扱いされることに苦悩しつづけます。 ある者は自責の念から酒におぼれ、最終的に不遇の死をとげることとなりました。 ラストシーンの、主人公が仲間たちを思い出す場面では涙が出ました。 ちょっとした休暇中に皆でビーチで過ごしたときの回想です。全員パンツ1枚になって無邪気に海で戯れている様子を見ていると、なぜ彼らがこんな目に…と。 英雄でも何者でもない、どの国にもいる普通の若者たちだったのですから。 「目的のために手段を正当化する」という政治上の悪徳は今も昔も変わりませんが、イーストウッド監督はよくもまあ祖国のシンボルにまつわる暗部に光をあてたものです。 それゆえに事実を積み重ねる丁寧な演出となったのでしょう。 エンドロールで流される過去の写真は映画のシーンと符合して驚かされます。 マニアックな視点で言えば、両軍の装備や戦闘場面は入念な考証がなされていました。 劇中でもさらりと触れていましたが、米軍が硫黄島を必要としたのは、日本本土を爆撃するB29の不時着地点として使用するためでした。 多くの犠牲を払って占領した島は、大勢の市民を殺害する空襲を「安心して」行えるようにする助けとなったのです。戦争というものの冷酷な一面を垣間見る思いでした。 先日みた「ALWAYS 三丁目の夕陽」でも、空襲によって愛する家族を奪われた医師の悲しみや苦しみが描かれていました。 映画としては、場所や時間軸が大きくぶれる(硫黄島への上陸前・旗を立てる前後・過去と現在の米国内)のでやや混乱するきらいがあります。 爆死した遺体などちょっと目をそむけたくなるような場面もあるので、ある程度の覚悟をして観たほうがよいかと。けして週末に娯楽として楽しむ映画でもありませんので… 個人的には歴史の事実として観ておくべき一本ではないかと思います。 ちなみに「硫黄島二部作」の日本編の予告が最後に流れました。 正直いって微妙… 有名俳優が目白押しなので大河ドラマに見えてしまうというのはご愛嬌として(笑) 翻訳調のセリフも含めあまり当時の日本人らしくないような気がしました。 「残っているのはライフルだけです」とかね。 まあでも観に行ってしまうんだろうな。
by tetsu_waka
| 2006-12-02 10:24
| 映画
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